日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
意識障害・呼吸不全の増悪にrefeeding syndromeが関与した1例
宮崎 裕也岩本 謙荘谷川 隆久相原 啓二蒲地 正幸佐多 竹良
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2009 年 16 巻 1 号 p. 51-56

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抄録

意識障害・呼吸不全の増悪に低リン血症を主体とするrefeeding syndromeが関与し,血清リン値を補正することで意識障害が改善した症例を経験した。症例は69歳,女性。慢性関節リウマチに対してメトトレキサート投与中に無顆粒球症を発症し,肺炎・心不全・disseminated intravascular coagulation(DIC)も併発したため,当院へ搬送となった。しかし,呼吸状態は悪化し,CO2貯留に伴う意識障害も出現したため,人工呼吸管理を開始した。その後,CO2は低下し,意識障害も改善傾向を示したが,数日にわたり原因不明の傾眠傾向が残存した。転院以前の栄養管理は末梢静脈栄養のみであったが,転院後より高カロリー輸液が開始され,血清リン値が入院時の正常値から急激に低下していたため,傾眠傾向の原因はrefeeding syndromeと考えられた。リンの補充を開始することで血清リン値は上昇,傾眠傾向は消失し,呼吸状態も改善したため,抜管が可能となった。中心静脈栄養などの栄養療法開始時や内容変更時には体内リンの動態にも注意が必要である。

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© 2009 日本集中治療医学会
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