日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
生体肺移植術後に呼吸・循環不全をきたした一症例
齋藤 浩二星 邦彦佐々木 規喜吾妻 俊弘江島 豊黒澤 伸
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2010 年 17 巻 1 号 p. 55-58

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抄録

症例は25歳,男性。原発性肺高血圧症に対し生体肺移植術が施行されたが,移植肺が小さく心機能も低下していたため,経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support, PCPS)装着下にICUに入室した。術後2日目にPCPSから離脱したが,動肺コンプライアンスが不良であったため人工呼吸を継続した。術後9日目に肺動脈圧が上昇して肺/体血圧比が高値となり,換気も不良となった。拒絶反応に起因すると考えられる肺水腫を認め,PCPSを再度導入した。水分バランスの是正を行い心拍出量を抑えることで,肺動脈圧の上昇もみられなくなったため,PCPS,人工呼吸器から離脱した。移植肺が小さい症例では肺血管床が小さくなるため肺水腫をきたしやすい。本症例では肺/体血圧比の推移が移植肺の状態を反映していたと考えられた。

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© 2010 日本集中治療医学会
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