2010 年 17 巻 4 号 p. 513-518
血漿交換(plasma exchange, PE),リツキシマブが無効であった難治性の血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura, TTP)に対し,多剤併用化学療法が有効であった2症例を経験した。【症例1】49歳,女性。TTPに対し,PE,ステロイド,ビンクリスチン単剤,シクロフォスファミド単剤,リツキシマブ投与が無効であったが,多剤併用化学療法を施行し,a disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs 13(ADAMTS13)インヒビターの陰転化ならびに症状の消失を認めた。【症例2】64歳,男性。TTPに対し,PE,ステロイド,リツキシマブ投与が無効であった。経過中脳幹出血を合併したものの,多剤併用化学療法により,ADAMTS13インヒビターは陰転化し,救命し得た。PE・リツキシマブが無効なTTP症例に対する多剤併用化学療法が有効である可能性が示唆された。