わが国の栄養学では,類似した数種の食品を野菜類や肉類などの「食品群」としてまとめて,食育や食事療法などに活用している。一方,中医営養学では,食べることにより体を温める食品を温性,冷やす食品を寒性とするなど,食品の体への作用を「食性」として分類している。これまでに「食品群」と「食性」との関連性を調べた研究はない。そこで,『食物性味表』(日本中医食糧学会編著)記載の291品を『日本食品標準成分表』の「食品群」で分類し,「食品群」と「食性」との関連性を調べた。その結果,調味料や香辛料類にからだを温める「食性」を持つ物が多いこと,穀類や藻類などにからだを冷やす「食性」を持つ物が多いなど,いくつかの「食品群」と「食性」とのあいだに統計学的に有意な関連がみられた。これらの情報は今後,食品による健康作りへの活用が期待される。