日本栄養・食糧学会誌
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放射化分析による茶 (緑茶, 紅茶, ジャスミン茶, ウーロン茶) 中の微量元素の含有量について
稲荷田 万里子保屋野 美智子野崎 正
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1984 年 37 巻 2 号 p. 151-156

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抄録

1) 産地別の緑茶, 紅茶, ジャスミン茶, ウーロン茶の中のSe, Hg, Sb, Cs, Sc, Zn, Fe, CQの含有量を熱中性子放射化分析により測定した。
2) 緑茶では, Seは0.020~0.98μg/g, Sbは0.028~0.56μg/g, Csは0.0097~0.23μg/g, Scは0.013~0.041μg/g, Znは21.06~52.26μg/g, Feは67.05~123.72μg/g, Coは0.12~0.31μg/gであった。
3) 紅茶, ウーロン茶ではSeは0.0~0.42 μg/g, Sbは0.18~0.69μg/g, Csは0.081~0.032μg/g, Scは0.028~0.059μg/g, Znは19.73~52.04μg/g, Feは68.00~294.6μg/g, Coは0.14~0.24μg/gであった。
4) ジャスミン茶ではSeは0.052~0.16μg/g, Sbは0.36~0.49μg/g, Csをは0.24~0.26μg/g, Scは0.12~0.4μg/g, Znは20.92~37.63μg/g, Feは171.86~226.19μg/g, Coは0.21~0.23μg/gであった。
5) 有害元素であるHgは緑茶では検出感度以下で, 紅茶にごく少量認められた。
6) 緑茶, 紅茶とも産地別にみるとこれらの元素の含有量に差があることが認められた。
7) 緑茶, 紅茶の浸出液中の微量元素の含有量を測定した結果, Sb, Cs, Sc, Zn, Fe, Coが検出された。紅茶について浸出時間を2分30秒と5分と変化したが浸出された元素の量に大きな差はみとめられなかった。

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