気管支喘息の病態において,気道の慢性炎症,特に好酸球性の炎症が中心的な役割を果たしており,治療を考える上でも,炎症をいかにコントロールするかに重点がおかれている.しかし実際の診療では,気道炎症を評価する指標がない.気道炎症を評価する方法論の確立が,大いに期待されている.
臨床的にモニタリングに用いるためには,炎症を適切に反映すること,非侵襲的であること,手間や費用が少なくてすむこと,などの条件がある.喀痰細胞診は,喀痰採取に若干のテクニックを必要とするが,これらの条件を満たし,気道炎症がモニタリング可能となりうる指標である.
喀痰細胞診で好酸球比率をモニタリングすることで,急性期の好酸球性炎症の変化だけでなく,コントローラーとしての吸入ステロイド薬,抗ロイコトリエン薬,長時間作用性 β2 アゴニストなどを導入する前後での,好酸球性炎症の変化を確認することもできる.乳児喘息の病型分類にも,鼻腔より吸引した痰による細胞診が使用できる可能性がある.