2012 年 7 巻 1 号 p. 342-347
本研究の目的は, 患者・遺族調査の結果から患者・家族の医療者への要望を明らかにし, 「医療者が気を配ること」をまとめた冊子の作成過程を記述することである. 浜松市内の複数の医療施設の進行がん患者, 遺族それぞれ550名, 632名を対象とした質問紙調査を行い, 337名, 432名から回収を得た. その回答から, がん治療・緩和ケアの意見・要望に関する自由記述の内容分析を行った. 378の意味単位が分析対象となり, 医療者に対する要望として6つのカテゴリー(【気持ちに寄り添って一緒に考えてほしい】【希望する場所で過ごせるようにしてほしい】【苦痛が最小限になるように努力してほしい】【後悔しないように, 話しておきたい・やってあげたいことができるようにしてほしい】【生きる希望を支えてほしい】【医療用麻薬についての不安を和らげてほしい】)が得られた. これらに対して, 医療者ができる工夫や工夫の根拠となる情報を含めた冊子を作成できた.