2013 年 8 巻 1 号 p. 501-506
【目的】統合医療が注目されてきている中で植物の療法的効果が明らかになってきたが, 緩和ケアにおいて園芸療法が導入されている例は少ない. 本研究では, 緩和ケアにおいて個人対象の園芸療法を行い, 患者の体験を分析考察した. 【結果と考察】フェイススケールスコアからは園芸療法を実施した日はしなかった日に比べて疼痛が改善することが多く, 発芽や開花, 結実といった植物と触れ合うことの効果が良い影響を与えた可能性が推察された. 看護師日誌の観察記録と園芸療法士の観察記録を比較した結果, 会話の性質が異なり, 双方への患者の対応の違いが示された. 【結論】多分野の関わりが必要な緩和ケアでの統合医療の1つとして園芸療法が有用である可能性が示唆された.