Palliative Care Research
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がん患者遺族ボランティアによる語りの分析─緩和ケア病棟でボランティアをする意味の解明
増永 悦子大谷 尚
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2013 年 8 巻 2 号 p. 351-360

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抄録

【目的・方法】がん患者遺族(以下, 遺族)による緩和ケア病棟ボランティアの意味の解明を目的に, 遺族7名の語りをSCAT (Steps for Coding and Theorization)で分析した. 【結果】遺族によるボランティアの意味は『家族を看取った場所への思い』『動機』『果たすべき役割』『実際の活動内容』という4つのテーマで構成され, それぞれの下位概念として19のカテゴリーを得た. 動機はボランティア活動の古典的条件と重なり, さらに緩和ケアの満足感, 遺族の死生観と合致した看取りを含めた最善の最後などであった. また, 緩和ケアがもつ治療の場より生活の場という特性への支援が, ボランティア活動の内容となっていた. 【結論】医療職が遺族ボランティアと連携・協働しながら, ボランティア活動の場に対する遺族の両義的感情を理解して安全に支援するための介入を行う必要性が示唆された. 遺族ボランティアの適切な開始時期の目安の解明は今後の課題である.

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© 2013 日本緩和医療学会
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