社会学評論
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特集・社会学教育の現代的変容
社会福祉士と社会学教育
小高 良友
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2008 年 58 巻 4 号 p. 492-505

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抄録

私が勤務する大学では,平成に入り間もなく社会学教育は岐路に立ち変容をせまられていた.以来約15年以上にわたり,私は福祉士教育と社会学との接点で悪戦苦闘することになった.
批判的になることによって発見できることはたくさんある.社会学に限らず,少なくとも学問は基本的にそのような特性を持っていよう.しかし,批判的になることによって見えなくなることがあることを,私は自分が実習生として社会福祉現場実習に行って知ることとなった.
社会福祉援助技術現場実習の実習生として,あるいは卒業後に職員として,福祉施設の職員や利用者や実習生の逸脱行為に出会ったとき,その逸脱行為をどのように理解しようとするか.その行為者のパーソナリティの欠陥にその原因を探そうとするのか,同様の「状況」におかれれば自分も含めた誰にでも起こりうる行為かもしれないとその行為を理解しようとするのか.社会学は,社会福祉士教育にたいして後者の視点を提供できる.それは社会福祉士教育にたいする社会学教育の貢献点のひとつである.

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© 2008 日本社会学会
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