コンピュータ ソフトウェア
Print ISSN : 0289-6540
タッチデバイスにおけるボタン式UIからジェスチャ操作への脱却
齋藤 暢郎小出 洋近藤 秀樹
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 30 巻 4 号 p. 4_36-4_44

詳細
抄録

近年,スマートフォンやタブレット端末を代表としてタッチデバイスの普及が進み,アプリケーション市場も拡大し続けている.市場に出回っているアプリケーションは,その操作方法としてボタン式のユーザインタフェイス(UI)を設置しているものが多くを占めている.タッチデバイスにおいてボタン式UIは視覚的に解りやすく,十分な大きさを取れば操作ミスのリスクも低いので人気の高い操作方法である.より多くの機能を呼び出したい場合にボタン式UIを用いる場合は,ボタン自体を小さく設計するか,ボタンを設置する領域を大きく設計する,或いはその両方が取られる.ボタンを設置する領域を大きく設計する場合,複数ページに渡りボタンを設置する方法を取る場合もあるが,いずれにせよ操作ミスの発生率の上昇,表示領域の縮小,操作の煩雑化といった事により,ユーザエクスペリエンス(UX)の低下が引き起こされる.iOS向けのブラウザアプリケーションLibingでは,そういった多彩な操作を実現することによる弊害を回避するため,一切ボタン式UIを用いずジェスチャによって操作を行うことで,多彩な操作と精度を保ちつつ,表示領域を最大に維持することに成功した.ジェスチャによる操作を採用する場合,ユーザがジェスチャに対応する操作を覚えなければならないという課題があるが,Libingではユーザがジェスチャを自由に設定できる実装を行い,これを克服した.

著者関連情報
© 2013 日本ソフトウェア科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top