Journal of UOEH
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[総説]
ヒト間葉系幹細胞による破骨細胞の分化抑制作用と関節リウマチ治療への応用
尾下 浩一山岡 邦宏田中 良哉
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2013 年 35 巻 1 号 p. 33-37

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抄録

関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)において不可逆的に進行する骨・軟骨破壊によって生じる関節変形は,患者の運動機能を著しく低下させる.したがって,関節滑膜の炎症制御だけでなく破壊関節の修復・再生を可能とする新しい治療法の開発が急務である.近年,骨芽細胞や軟骨細胞に分化誘導可能かつ免疫抑制作用を有する間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell;MSC)を利用した新しいRA治療法の確立を目指した研究が盛んに行われている.我々はヒト骨髄由来MSCが破骨細胞分化阻害因子であるosteoprotegerin(OPG)を恒常的に産生する細胞であり,receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand(RANKL)の刺激で誘導される破骨細胞分化を抑制する作用を有することを明らかにした.したがって,MSCはRAにおける骨破壊進行を抑制できる可能性があるだけでなく,関節構造維持に重要な細胞であることが示唆されたことから,MSCは次世代RA治療にとって極めて有望な治療ツールであると考える.

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© 2013 産業医科大学
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