2016 年 72 巻 2 号 p. I_445-I_450
本研究は,多種の漂流物の移動・滞留を把握する漂流物シミュレーションにおいて,漂流物に想定される不確定性の影響を考慮したモデルの開発を行ったものである.また,建物に漂流物が衝突する場合における漂流軌跡の影響評価を行った.漂流物に関するパラメータ(抗力・付加質量係数)および閾値(漂流開始条件)に不確定性を考慮した検討および建物の配置の違いによる漂流軌跡・密度の評価を行った.実際に津波漂流物被害があった気仙沼市鹿折地区において本モデルを適用した.これらの検討結果より,漂流物の漂流開始条件の不確定性が漂流軌跡のばらつきに支配的であること,建物の存在が漂流物の滞留密度に影響を及ぼすことを示した.