化学工学論文集
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材料工学,界面現象
液相法による積層セラミックコンデンサー用銅ならびにニッケル膜の調製
佐藤 洋泰良 知菅原 勝康
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2012 年 38 巻 2 号 p. 117-122

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抄録

卑金属電極型積層セラミックコンデンサー(Base-Metal-Electrode Multi-layer Ceramic Capacitors, BME-MLCCs)の端部電極に適用可能な,薄くかつ緻密な銅およびニッケル金属膜を低温で得ることを目的として,有機金属化合物を出発原料とし液相法により金属膜前駆体を調製した.そしてこの前駆体の熱処理に伴う化学形態や形状の変化を調べた.前駆体を窒素気流中,200℃から300℃で加熱処理することにより,銅およびニッケルの単金属膜ならびに合金膜を得ることができた.溶媒として用いたテトラエチレングリコールの量が,酢酸銅一水和物および酢酸ニッケル四水和物に対して3 molから4 mol添加したときに緻密な金属膜が得られた.また銅前駆体とニッケル前駆体の混合比を変えることにより,銅ニッケル合金膜の組成を任意に制御できることが明らかとなった.MLCC端部に前駆体を塗布して熱処理を行ったところ,内部電極中への銅の拡散およびBaTiO3層でのクラックの生成なしに,均一かつ薄いBME-MLCCsの端部電極を500℃で形成しうることがわかった.

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© 2012 公益社団法人 化学工学会
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