化学工学論文集
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分離工学
TSA法による除去・濃縮を目的とした低濃度トルエン–酢酸エチル混合ガスの固定層活性炭における吸脱着特性
山口 俊雄青木 和也桜井 誠亀山 秀雄
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2014 年 40 巻 1 号 p. 18-26

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抄録

本研究の最終的な目標は,低濃度VOCs排ガスを処理するための,中小型装置向けの新たなシステムの開発である.吸着技術を応用することにより,省エネ性が高く安価な装置の実現を目指している.本研究では吸脱着試験用VOCsガスとして,代表的な酢酸エチル,およびトルエン・酢酸エチルからなる2成分系ガスを選択し,市販の椰子がら粒状活性炭を充填した固定層を用いて,ガス流通法によりVOCsガスの吸着,およびパージガスフィード量を減ずることによる脱着濃縮実験を実施した.吸着ステップでのフィードガス中のVOCs濃度範囲はトルエン50–600 ppm,酢酸エチル50–2000 ppmで,VOCsトータルとしては主に自燃しにくい600 ppm以下の低濃度とし,温度30–180˚C,流速0.03–0.37 m·s-1で吸脱着実験を実施した.上記実験条件,実験範囲における単成分,2成分系VOCsガスの吸着平衡がLangmuir式あるいは単成分でのデータを用いることによりExtended–Langmuir式で表現できることを確認した.実験でえられた破過曲線および脱離曲線について,Langmuir式あるいはExtended–Langmuir式,濃度基準総括物質移動容量係数を変数とする濃度基準線形推進力近似法モデル(以降LDFCモデルと記載)を適用して,カーブフィッティング(以降,LDFCカーブフィッティング法と記載)を実施し,低濃度2成分系VOCガス濃縮での吸脱着特性を明らかにした.温度依存型Extended–Langmuirモデルが低濃度2成分系VOCsガスの吸脱着・濃縮操作のシミュレーションに有効であること,また数値計算において効率的で精度的にも実用上適用可能であることを明らかにした.本実験領域において,非平衡,非等温操作LDFCモデルが吸着システムおよび関連技術の開発と設計において,有用な解析法であることを確認した.

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© 2014 公益社団法人 化学工学会
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