日本東洋医学雑誌
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原著
易怒性から過食する肥満患者における抑肝散の有用性に関する検討(後ろ向き研究)
大平 征宏齋木 厚人山口 崇今村 榛樹佐藤 悠太番 典子川名 秀俊南雲 彩子龍野 一郎小菅 孝明秋葉 哲生
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2015 年 66 巻 3 号 p. 191-196

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抄録

以前我々は減量手術後に易怒性から過食,リバウンドした症例を抑肝散が改善させたことを報告し,肥満症患者の精神面に対する漢方治療が有用である可能性を提唱した。今回,頻用されている減量治療薬および抑肝散の減量治療に対する効果を比較した。
当院で減量治療目的にマジンドール,防風通聖散または易怒性を指標に抑肝散を投与された肥満症患者107例を後ろ向きに検討した。
投与3ヵ月後,マジンドールおよび抑肝散で有意な体重減少を認めた。糖代謝への影響を糖尿病患者のみで検討した。HbA1c の改善はいずれの群においても有意差は認めなかった。
肥満症の減量治療にはメンタルヘルスの問題が重要であり,患者の精神面を意識した漢方治療は有効であることが示唆された。

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© 2015 一般社団法人 日本東洋医学会
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