感染症学雑誌
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Chlamydia trachomatis感染細胞抽出液に見出されたC.trachomatis感染患者血清と反応する抗原の解析
佐藤 梢菰田 照子坂内 久一秋田 博伸岩田 敏佐藤 吉壮砂川 慶介
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2003 年 77 巻 10 号 p. 830-838

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抄録

Chlamydia trachomatis感染症の血清診断のための新しいマーカーを見出すため, C. trachomatis感染HeLa229細胞の抽出液を抗原として, Western blot (WB) 法を行った. 血清は継続して得られた2症例の患者血清 (肺炎, 子宮頸管炎, 各4検体) を用いた. そして治療後の週数や抗体レベルに応じて消退するバンドを検索した. その結果, 観察期間内に完全には消失しなかったが, 次第に薄くなる17KDaバンドを検出した. このバンドは子宮頸管炎患者 (外来受診時にClearview法またはIDEIA-PCEクラミジア (IDEIA) 法が陽性) において検出された. すなわち, IDEIA法が陽性の25例中20例 (80%), Clearview法が陽性の33例中18例 (54.5%), 両方が陽性の16例中12例 (75%) であった. しかし, 対照の各陽性血清では検出されなかった. また, 17KDa抗原に対する抗体検出の頻度はmicro-immunofluorescence test (MIF) やペプタイドクラミジア法で得た抗C. trachomatis抗体の検出頻度とほとんど同じであった. これらの成績は17KDaバンドが, WB法による抗体検出のマーカーとして利用できる可能性を示す.
この抗原は飽和度60%の硫安で沈殿し, タンパク分解酵素により消化された. またアミノ酸解析の結果, ヒト由来の酵素nucleoside diphosphate kinase Bであることが明らかになった.

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