2009 年 50 巻 10 号 p. 555-564
Nonalcoholic steatohepatitis(NASH)のPioglitazone治療において2年以上の長期治療効果は不明である.今回,NASH 23例に7.5∼30 mgの投与量で2年以上(平均46.5カ月)治療を行い,15例に2年後の肝生検で検討した.ALTは治療前平均値106 IU/l,3カ月後58 IU/l,2年後35 IU/lと3カ月ですみやかに改善し(P<0.001),その後も長期効果を維持した.2年後の中性脂肪(P=0.012),HbA1c(P=0.006),HOMA-IR(P<0.001)で有意に改善をみた.組織学的にも脂肪滴(P=0.006),小葉内炎症および線維化(P=0.02)で有意に改善を認めた.副作用として,体重増加を12例(52%)に認め,2年間で平均1.5 kg増加した.
以上,本邦のNASH患者にPioglitazone治療を行い2年以上の長期効果を検討したところ,生化学的組織学的改善効果が持続した.