肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
症例報告
急性肝不全に対する抗凝固療法中に左上腕部筋肉内血腫が増悪した重症型アルコール性肝炎の1例
橋口 正史最勝寺 晶子馬渡 誠一小田 耕平馬場 善政蔡 榮鴻呉 建熊谷 公太郎玉井 努森内 昭博宇都 浩文桶谷 眞井戸 章雄坪内 博仁
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 52 巻 1 号 p. 18-25

詳細
抄録

25歳女性.20歳時からアルコールを多飲,入院加療歴があった.2009年12月初旬から倦怠感,発熱,黄疸が出現,症状発現15日後に当科入院した.重症型アルコール性肝炎と診断,アンチトロンビン(AT)濃縮製剤などの抗凝固療法を行った.全身状態,肝機能とも改善傾向であったが,血圧測定後に出現した左上腕の皮下血腫が体幹まで拡大し貧血が進行,造影CTでは左上腕部に筋肉内血腫を認めた.圧迫止血を強化し,血腫の進展は止まったが,持続的なAT-III低下に対して再度AT濃縮製剤を投与したところ,筋肉内血腫の増悪と貧血の進行がみられた.急性肝不全では抗凝固療法が有用とされるが,筋肉内血腫で死亡した症例も報告されており注意が必要である.

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top