肝臓
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原著
薬物性肝障害診断スコアリングにおけるE型肝炎の診断マーカー追加の必要性についての検討
岡野 宏中野 達徳岡本 宏明
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2014 年 55 巻 6 号 p. 325-334

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抄録

薬物性肝障害診断時の項目にE型肝炎の除外は含まれていないが,IgA-HE抗体測定系保険収載後の2012年よりE型肝炎届出数は増加している現状がある.2003年~2012年の期間に当院で経験したE型肝炎13例で,薬物性肝障害診断時のE型肝炎除外の必要性について検討した.E型肝炎12例の感染源は不明であった.E型肝炎マーカー未測定時,8例が薬物性肝障害と誤診され,薬物性肝障害例の11.6%を占めた.E型肝炎例はスコアリングシステムを使用時全例が5点以上となり,点数分布を薬物性肝障害例と比較しても有意差を認めなかった.従来指摘されている畜肉の摂取は13例中1例でのみであり喫食歴からE型肝炎感染を推測することは困難であった.正確な薬物性肝障害診断のため,現行の薬物性肝障害診断基準にE型肝炎マーカー,特に保険収載されたIgA-HE抗体価測定を加え,スコアリングの段階でE型肝炎の除外診断を行う必要があると考えられる.

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© 2014 一般社団法人 日本肝臓学会
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