2011 年 29 巻 4 号 p. 171-180
我々はフレネル変換を使用した画像の多重解像度解析としてFREBAS変換を提案し,これまで医用画像の雑音除去や鮮鋭化問題に応用してきた.本研究ではFREBAS変換により得られた展開像の間には相互に信号振幅が大きくなる領域に高い相関がある性質を利用し,FREBAS変換空間の注目点近傍だけでなく展開画像間の相似的な位置の信号分布にも着目し,適応的に雑音を除去する新たな雑音除去フィルタについて検討を行った.雑音除去特性を評価した結果,従来FREBAS法と比べて同等のSNR改善度を確保しながら画像の劣化量を顕著に低下することができた.また,他の雑音除去法との比較においても提案法の優位性を示すことができた.