2005 年 94 巻 8 号 p. 1541-1547
認知症は本人,家族,地域住民の生活に影響を与えることが多く「医学モデル」だけではなく「生活モデル」での視点が必要である.国際生活機能分類は「生活モデル」に立脚した概念であり,認知症の医療と介護を考える上で1つの指針となる.認知症は診断,予後推定,能力判定をするうえで患者の生活に基づいた情報が必要であり,治療においても非薬物療法,その人のNarrativeに基づいたケアなど介護の果たす役割は大きい.また,ケアのためには的確な診断と,疾病特異的な対応やアドバイスなど医師からの情報提供が求められる.このように医療と介護は認知症患者の治療やケアにおいて共助の関係にある.