日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
症例報告
禁煙を契機に発症したと考えられた潰瘍性大腸炎の1例
渡邉 隆青柳 邦彦船越 禎広山本 智文江口 浩一山口 真三志冨岡 禎隆二村 聡向坂 彰太郎
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キーワード: 禁煙, 潰瘍性大腸炎
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2011 年 108 巻 3 号 p. 464-469

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抄録

症例は59歳,男性.元来,愛煙家であり,25本/日,35年間の喫煙歴があった.左肺巨大嚢胞を認めたため禁煙を開始したところ,1カ月後より水様性下痢と血便が出現し,当科受診となった.下部消化管内視鏡検査にて全大腸にびまん性の発赤粗造粘膜と血管透見像の消失を認めた.除外診断を行い,特徴的な下部消化管内視鏡と生検組織所見,および再燃寛解を繰り返す臨床経過より潰瘍性大腸炎と診断した.本症例は,禁煙を契機に発症したと考えられ,喫煙と潰瘍性大腸炎の関連を考察するうえで興味深い.中高年発症の潰瘍性大腸炎症例では,喫煙歴は重要な因子であると考えられ報告した.

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© 2011 (一財) 日本消化器病学会
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