オレオサイエンス
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特集総合論文
植物ステロールとその類縁化合物の生理機能
池田 郁男
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2007 年 7 巻 10 号 p. 437-443

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抄録

植物ステロールや植物スタノールは, 血清LDL-コレステロール濃度低下作用を有する。これらの有効量は, 0.7~2g/日程度である。植物ステロール/スタノールは, 小腸内腔で胆汁酸ミセルに溶解することにより, 相対的にコレステロールの溶解を減少させ, コレステロール吸収を阻害すると考えられる。植物ステロール/スタノールは吸収率が低く体内に蓄積せず, きわめて安全性が高い。これまで, 上記摂取レベルでは副作用は観察されていない。1.5g/日以上の摂取で, 血清β-カロテンやα-トコフェロール濃度が減少する場合があるが, これらビタミンが不足することはない。これらのことから, 植物ステロール/スタノールは動脈硬化症予防に有効で, 安全な食品素材と考えられる。

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© 2007 公益社団法人 日本油化学会
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