オレオサイエンス
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特集総合論文
脂肪酸リモデリング, 脂肪滴形成と脂肪毒性
芦部 文一朗本島 清人
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2008 年 8 巻 10 号 p. 447-454

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抄録

ゲノム解析が進み, 脂肪酸代謝に関わる酵素と調節因子の数の多さと, 多様性と多重性が明らかになった。遺伝子産物である酵素の発現と活性, それらの調節の詳細については今後の研究を待たなければならないが, 現時点でも食物由来の飽和および不飽和脂肪酸の体内脂質代謝に及ぼす影響を分子レベルで考察を始めることが可能となった。中でも, 過剰な脂質が細胞機能を障害する脂肪毒性は, 多くの疾患の原因と考えられており, その発生機構については多くの研究がなされている。本総説では, まず脂肪酸リモデリング系について, その食物由来の脂質に対する適応システムとしての重要性と柔軟性を概説する。次いで脂肪毒性の発生機構として提出されている代表的な仮説の検証を行いながら, 防御機構としての脂肪酸リモデリング系と脂肪滴形成の組織特異的な意義について述べる。

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© 2008 公益社団法人 日本油化学会
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