2003 年 45 巻 1 号 p. 95-104
侵襲性歯周炎患者に対して歯周組織再生療法および骨接合型インプラントを含む包括的な歯周治療を行った。患者は36歳の女性で, 全顎的に高度の歯槽骨吸収を呈するが, 全身的には健康で, 両側下顎大臼歯部歯肉の疼痛および腫脹を主訴に来院した。口腔内診査から, 全顎的な歯肉の炎症およびプラーク堆積を認めた。プラーク以外の歯周病のリスク因子を特定できなかった。歯周初期治療後に, エナメルマトリックスデリバアィブ (EMD) およびguided tissue regeneration (GTR) による組織再生療法を, 欠損部にはguidedboneregeneration (GBR) 併用の骨接合型インプラント治療を行った。その結果, 歯肉溝からの出血, プラーク指数およびプロービング深さは改善された。再生療法により付着の獲得ができ, 骨接合型インプラントにより右側の咬合機能を回復した。上顎前歯の審美的問題は, 上皮下結合組織移植による欠損部歯槽堤増大術により改善した。これらの多分野に亘る治療体系は侵襲性歯周炎患者の治療として有効であった。