2007 年 29 巻 p. 153-160
新潟県中越地震では, 気象庁の川口観測点において震度7が観測され, K-NETの小千谷観測点においても震度7に相当する地震動が観測された. 気象庁川口と K-NET小千谷の2点で観測された水平動粒子軌跡が異なる方向に震動していることから, 本研究ではこの震動方向の違いの成因について震源過程に着目して考察する. 震源過程の推定においては観測点の地盤モデルを余震を用いて設定した上で, 強震記録を用いた震源インバージョンを実施する. 推定された震源過程には小千谷の地震動に寄与する滑りの大きな領域と, 断層の浅い部分に位置して川口の地震動にのみ寄与する領域とが存在することが定量的に確認された.