2017 年 32 巻 1 号 p. 81-84
〔目的〕10 m歩行テストにおける最速歩行と通常歩行の測定順序の違いが測定結果に与える影響を検討した.〔対象と方法〕対象は健常成人50名とした.10 m歩行テストにおいて,最速歩行測定後に通常歩行の測定をする方法と通常歩行測定後に最速歩行を測定する方法の2種類を別日に測定した.評価項目は,最速歩行および通常歩行の所要時間,通常歩行の主観的歩行速度におけるNRS(Numerical Rating Scale)とし,対応のあるt検定で比較した.〔結果〕両群の最速歩行の所要時間と通常歩行の主観的歩行速度に有意な差は認められなかったが,通常歩行の所要時間では,最速歩行を先に測定した群の方が有意に短かった.〔結語〕最速歩行を先に測定することは,運動残効により通常歩行の結果に影響する可能性がある.