陸水学雑誌
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貝池H2S層上端での密集分布を引き起こすChromatium sp.の上昇運動
松山 通郎
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1995 年 56 巻 3 号 p. 205-209

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抄録

貝池H2S層上端には2種の大型の細菌, Chromatium sp.と Macromonas sp.が常時密集している。分離したChromatium sp.を無機培地中で色々な光合成有効輻射エネルギー(PAR)下で培養した。細菌は遮光下でも培地を満たしたガラス管内を上昇した。細菌はPAR1μmole・m-2・s-1以上で生長した。1994年7月24日,湖でのPAR測定は2種の細菌が出現し始める深さ4.5mで10μmole・m-2・s-1であったが、それらがピークを示す深さ5.0mで0.1μμmole・m-2・s-1以下に減衰することを示した。
Chromatium個体群の75%以上は光が欠乏した状態にある。Chromatium sp.の個々の細胞はH2S層内を上昇し,その上端で光要求を満たすと推察された。

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