陸水学雑誌
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自然水域での溶存無機態炭素の測定方法
ワイスバード リチャード石井 雅男福島 武彦大槻 晃
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1995 年 56 巻 3 号 p. 221-226

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抄録

生態学や生物地球化学の研究では水中のDIC濃度を知ることが極めて重要であるが,現在利用されている手法はかなり難しいか,かなり不正確である。本論文では,市販の非分散型赤外線検出器(NDIR)を用いた有機炭素測定器が溶存態無機炭素(DIC)の測定においてかなり正確で,よい精度を有していることを示した(±2-3μmol・dm-3)。この精度は標準法であるCO2クーロメーターの精度±0.5-1μmol・dm-3と比べると悪いが,扱い易さ,繰り返し測定の容易さの点でこの器械は優れている。このため,DIC濃度の変化が比較的大きい水域でその空間分布を求める場合や離散的に生産量を測定する場合には,この器械による測定が有効である。しかし,海におけるDIC濃度の測定には,精度の観点からクーロメータニの利用が望まれる。

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