臨床血液
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症例報告
多発性骨原発Hodgkinリンパ腫
押川 学新井 文子佐々木 宏治一迫 玲三浦 修
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2009 年 50 巻 2 号 p. 92-96

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抄録

症例は28歳男性。14か月前から右骨盤部と腰部の疼痛を自覚していた。前医で骨盤X線及びCT scanを施行,異常は指摘されなかったが,5か月前から胸骨腫瘤,発熱,盗汗,体重減少が出現し当院を受診,胸骨腫瘤針生検でHodgkinリンパ腫(HL) (mixed cellularity)と診断された。FDG-PET scanにて胸骨,右腸骨,右第9肋骨,左肩甲骨下縁にFDG集積を認めたが,それ以外に病変は認めなかった。骨髄浸潤や中枢神経浸潤も認めず,骨原発と考えた。ABVD療法を開始後速やかに疼痛,発熱は消失し,6コース施行後完全寛解を得た。その後右腸骨に対し放射線治療を施行し寛解を維持している。骨のみに限局したHLは今までに16例の報告のみで本邦での報告はなく極めて稀である。疼痛以外に特徴的な臨床,画像所見はなく診断は困難なことが多い。化学療法への反応性は良好だが,病態解明には更なる症例の蓄積と検討が必要である。

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© 2009 一般社団法人 日本血液学会
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