2010 年 54 巻 1 号 p. 31-34
すべての生物が生存してゆくための機能を担っているのは数千種から数万種に及ぶと考えられるタンパク質であり,それぞれのタンパク質のもつ個別の機能の時間的・空間的相互作用によって生物全体としての機能が発現されていると考えられる.われわれは,プロテオミクスとは,ある生物種における機能性タンパク質同士の相互作用の全体像を明らかにすることによって,生物機能の全体像を解明しようとする研究の方向であると考えている.われわれがプロテオミクス技術開発のためのタンパク質集合体モデルとして用いてきたヒト血漿について,非変性条件のマイクロ2次元ゲル電気泳動とMALDI-MSペプチドマスフィンガープリント法を用いて解析した結果を紹介する.また,タンパク質相互作用解析のために開発してきた技術を,大腸菌タンパク質の解析に応用した例も紹介する.