1990 年 34 巻 6 号 p. 321-327
アガロースゲルを一次元目に用いた二次元電気泳動法を紹介し, この方法が種々の試料にも応用できるか否かについて考察した. この方法を, 筋肉, 肝臓, 腎臓, レンズにおける全タンパク質の分離分析に用いたところ, 一次元目のゲルトップに引っ掛かることなく, ほとんどすべての成分が分析でき, 分析できる等電点, 分子量の範囲は広いものであった. 植物材料, 細胞核試料以外のほとんどすべての材料で理想的な分離が可能であった. このパターンに画像解析法を適用することにより, 骨格筋タンパク質トロポニンTやトロポミオシンの多くのアイソフォームを検出し, トロポニンTとトロポニンCの間やレンズクリスタリンサブユニットの間での蓄積の相互関係を調べ, さらにはトロポミオシンアイソフォームの組織特異的分布を調べた.