生物物理化学
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細管式等速電気泳動によるセンノサイドAおよびBの検出および同定
平岡 厚三浦 勇男
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1990 年 34 巻 6 号 p. 357-361

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抄録

下剤として用いられて来ている植物性和漢生薬のダイオウ (Rheim palmatum 等の鱗茎) およびセンナ (Cassia angustiflorum 等の葉) の有効成分センノサイド類の主成分であるセンノサイドAおよびB (ジアンスロン誘導体で相互に立体異性体) の分離・分析の方法を, 細管式等速電気泳動法を用いて確立した. 実際の植物生薬抽出液中のセンノサイドA (PU値0.39) およびB (0.48) も, 標品との混合分析におけるゾーン長の延長により同定された. また, ロットの異なる合計30の生薬試料について本法によりセンノサイドAおよびBの含量を測定したところ, 得られた結果に見られたダイオウ, センナにおける両成分の含量とA/Bの量比についての傾向は, 初期の研究者による報告のものと一致した. さらに, うち10例について, 薄層クロマトグラフィー(TLC) 法による両成分の定量も行って値を比較したところ, センノサイドA(r=0.91), B(r=0.87) とも良好な相関性を示した. 以上より, 本法は, 生薬試料中のセンノサイドAおよびBを定量する迅速微量分析の系として, 在来法の一つであるTLC法と比較して少なくとも同程度には信頼して用いられるものである, と思われた.

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© 日本電気泳動学会
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