生物物理化学
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キャピラリー電気泳動によるヒト血漿 nitrite, nitrate の測定
上田 聡子前川 剛志定光 大海鶴田 良介中村 和行
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1996 年 40 巻 4 号 p. 175-181

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抄録

キャピラリー電気泳動を用いて血漿 nitrite, nitrate 濃度を測定した. キャピラリーは65cm×75μmの fused-silica 型のものを用い, 電圧は20kV, 検出波長は214nmとした. 泳動バッファーは5%NICE-Pak OFM Anion-BTを含む750mM NaClとした. 血液は, 採血後1000g, 5分間遠心分離して, 血漿を-80℃で保存した. 血漿は測定前にフィルターし, 濾液の20μlを使用した.
nitrite 濃度と泳動ピークの面積は正の相関を示し, その回帰式はy=1425+8261xr2=0.999であった. nitrate 濃度と泳動ピークの面積も同様に正の相関を示し, その回帰式はy=1417+8416xr2=0.999であった. 41名の健康成人の静脈血 nitrite, nitrate 濃度はそれぞれ, 0.15±0.07mg/l, 3.20±1.60mg/lであった. 敗血症, 亜硝酸ナトリウム投与, クモ膜下出血後の3症例の経過中に nitrite, nitrate を測定し, 病態により血漿中 nitrate が変化することがわかった. 以上より, キャピラリー電気泳動による血漿中 nitrite, nitrate 測定は, 集中治療患者のモニターとして有用と思われる.

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© 日本電気泳動学会
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