生物物理化学
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複数の電気泳動法を用いて解明した肝癌細胞における転移抑制遺伝子nm23-H1の発現制御機序について
藤本 佳範小野 稔松本 昭範大竹 孝明大平 基之高後 裕
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1996 年 40 巻 6 号 p. 313-317

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抄録

転移抑制遺伝子のひとつであるnm23-H1遺伝子産物の発現は肝癌細胞の転移能に逆相関することを明らかにしたが, その機序を検索するにあたり施行したノーザンブロットとウエスタンブロットに相反する結果が認められた. しかし, PCR-SSCP, サザンブロットおよびマイクロサテライト解析を加えて検索することにより, nm23-H1遺伝子産物の発現は肝癌細胞においては主に転写後に制御されるという結論を得た. このように遺伝子産物の発現機序の解明には複数の電気泳動法による検索とそれらの結果を総合して解析することが重要であると考えられた.

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