生物物理化学
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セルロースアセテート膜 (Sparax-SP) と反応するIgA1-κ型M-蛋白の免疫化学的特性
草〓 睦子藤田 清貴櫻林 郁之介鈴木 徳和寺邑 能実岡本 恵智子小林 邦彦吉岡 尚文荒川 正明
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1999 年 43 巻 3 号 p. 147-151

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抄録

Separax-SP膜と反応するIgA1-κ型M-蛋白を見い出し検討を加えた. このM-蛋白は, 2.0M NaClの洗浄でも吸着したセ・ア膜から解離することはなく, 還元アルキル化および neuraminidase 処理後でもセ・ア膜との反応性は消失しなかった. ジアセチルセルロースとトリアセチルセルロースを等量混合し油性成分を含まないセ・ア膜を用い電気泳動を行ったところ, 明瞭なM-蛋白帯は認めず, 原点のα1からβ位に残る幅広い異常蛋白帯が観察され, M-蛋白とアセチルセルロースとの結合による異常が示唆された. 患者IgA1型M-蛋白をプロテアーゼ処理後, 精製したαFab分画, およびαFc分画単独ではセ・ア膜との反応性は消失した. これらの結果から, セ・ア膜との反応は抗原抗体反応によるものではなく, 患者IgA1型M-蛋白がもつ物理的立体構造に起因した結合の可能性が高い.

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© 日本電気泳動学会
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