環境科学会誌
Online ISSN : 1884-5029
Print ISSN : 0915-0048
ISSN-L : 0915-0048
シンポジウム論文
経済実験による排出量取引市場の取引メカニズムの評価
田中 健太小谷 浩示馬奈木 俊介
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 24 巻 4 号 p. 384-389

詳細
抄録

排出量取引制度は現在,低炭素政策の重要な施策の一つとしてひろく導入がされている制度である。これまで排出量取引制度は現実の運用での評価,理論的な評価が多く行われてきた。そのなかでも経済実験により取引制度の評価も実際の制度設計に大きな影響を与える有用な分析結果を示してきた。しかしこれまでの経済実験による評価は市場参加者が売り手,もしくは買い手どちらかに規定されている場合の評価が多く,参加者が売り手にも買い手にもなりうる現実の市場での取引を十分に評価されていなかった。本研究ではこの点を考慮し,これまでの既存研究により最も優れているとされている取引手法であるダブルオークションの頑強性を評価するとともに,代替可能性の高いユニフォームプライスオークションとの比較を行う。分析の結果,ユニフォームプライスオークションがダブルオークションよりも優れた取引手法であることが示された。

著者関連情報
© 2011 社団法人 環境科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top