2011 年 84 巻 5 号 p. 173-178
有機エレクトロニクスデバイスは,軽量,薄型,フレキシブル,プリンタブル,大面積,低コストなど多くの点で従来のデバイスにはない特徴を有している。これらの特徴は,環境や人間に対する優しさを必要とする今後のクリーンデバイス,ユビキタスデバイスにおいて重要な役割を果たすと同時に,作り込みが重要な材料・部材技術とプロセス技術が基盤となるので日本のデバイス産業,製造業再生の足がかりとなることを期待されている。
本稿では,まずは事業化間近の有機薄膜太陽電池に焦点を当て,その開発の現状ならびに期待されるアプリケーションの現状について,材料・部材技術,プロセス技術,市場開発成果,とくに建築デバイスへの適用例と相関させながら紹介する。そして今後のあるべき有機エレクトロニクスデバイス戦略の提案を行う。