食品衛生学雑誌
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食品用プラスチック製品及び玩具中のノニルフェノール
河村 葉子前原 玉枝飯嶋 広代山田 隆
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2000 年 41 巻 3 号 p. 212-218

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抄録

プラスチック製器具・容器包装及び乳幼児用玩具中のノニルフェノール (NP) 残存量をGC/MS-SIMにより測定したところ, ポリ塩化ビニル (PVC) 製ラップフィルムと手袋で全検体から10~2,600μg/gと高濃度の残存がみられ, ポリスチレン (PS) 製使い捨てカップでも高頻度であった. その他, ポリカーボネート, ポリプロピレン, ABC樹脂, スチレンブタジエン製品からも検出されたが, ポリエチレン, AS樹脂, ポリ塩化ビニリデン製品では検出されなかった. NPが残存していたPSカップ, PVCラップフィルム及び手袋について溶出試験を行ったところ, n-ヘプタンにより極めて高い溶出が認められた. 一方, NPを含有する試料から酸化防止剤のトリス (ノニルフェニル) フォスファイトが検出され, これが分解してNPが生成したものと推察された.

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© 2000 公益社団法人 日本食品衛生学会
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