食品衛生学雑誌
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直接溶媒抽出とGPCによる放射線照射された食肉,チーズおよびサーモン中の2-アルキルブタノン類の迅速分析法
高橋 邦彦石井 里枝松本 隆二
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2013 年 54 巻 3 号 p. 173-177

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抄録

2-アルキルブタノン類(2-ACBs)は含脂質食品の放射線照射により生成することが知られている.今回,直接溶媒抽出による放射線照射食品からの2-ドデシルシクロブタノン(2-DCB)と2-テトラデシルシクロブタノン(2-TCB)の抽出法を開発し,EUの標準分析法(EN1785)であるソックスレー抽出との抽出効率を比較した.放射線照射した試料はヘキサンでソックスレーもしくは直接抽出した.抽出脂質はGPCおよびシリカゲルミニカラムにより精製し,2-DCBと2-TCBをGC-MS/MSで測定した.直接抽出法はソックスレー抽出と同等の抽出効率が得られた.牛肉,豚肉,鶏肉,チーズおよびサーモンの脂質抽出物に50 ng/gの濃度となるように2-DCBおよび2-TCBを添加したときの本法の真度は,それぞれ76.6~91.6%および81.3~109.0%であった.2-DCBおよび2-TCBの検出限界はそれぞれ15 ng/gおよび20 ng/gであった.

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© 2013 公益社団法人 日本食品衛生学会
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