1999 年 65 巻 4 号 p. 665-672
播磨灘のChattonella antiqua(ラフィド藻)による赤潮発生の原因を明らかにするために, 1986,1987,および1988年の播磨灘南西域における調査資料を用いて, 同種の高密度発生と水質, 気象要因との関係について調べた。C. antiquaは1987年8月上旬のDIN(溶存無機態窒素), DIP(溶存無機態リン), DIN×DIP等が低く, DIN : DIP比が高い水域で高密度で出現した。また同年の7月中旬は比較的低温で降雨が多く, また下旬は高温で日照時間の長い日が持続した。これらの同種の高密度発生時における水質, および気象諸要因の特徴は, 同種のシストの発芽や栄養塩の利用性等の生理学的特性と密接な関連のあることが示唆された。