大気環境学会誌
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原著
機械通風式冷却塔からの白煙予測手法 (その1)
― プルーム上昇・拡散モデルの開発 ―
道岡 武信佐藤 歩佐田 幸一下田 昭郎市川 陽一
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2009 年 44 巻 3 号 p. 147-154

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抄録

機械通風式冷却塔の建屋形状や複数ファンの配列がプルーム上昇および拡散幅に及ぼす影響を風洞実験により検討した。単一のファンを想定した拡散実験により,冷却塔の建屋長さ・高さがプルーム上昇,水平方向および鉛直方向拡散幅に及ぼす影響は非常に小さいことが明らかになった。また,複数ファンを有する冷却塔の拡散実験より,プルーム上昇高さは,冷却塔ファン数および風向に強く依存することがわかった。風向が冷却塔の長手方向に平行の場合,ファン数が増加するほどプルーム上昇高さは大きくなるが,風向が垂直の場合,ファン数とともにプルーム上昇高さはあまり大きくならない。また,鉛直および水平方向拡散幅はプルーム上昇高さとは異なり,ファンの配列よりも冷却塔ファンの個数に強く依存する。
風洞実験結果を基に機械通風式冷却塔白煙に適用可能なプルーム上昇モデルおよび拡散幅モデルの開発を行った。また,既存モデル(FOGモデル)および開発モデル式の精度を検討するために,風洞実験値と比較した。その結果,既存モデルはファン配置や個数を考慮することができず,上記現象を再現できない。それに対して,ファン配置や個数を考慮できる本開発モデルは,プルーム上昇高さおよび拡散幅の風洞実験値を良好に再現することができた。

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© 2009 社団法人 大気環境学会
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