大気環境学会誌
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技術調査報告
ディーゼル排気粒子中多環芳香族炭化水素の排出特性
―酸化触媒の効果―
柴田 慶子柳沢 伸浩田代 欣久坂本 和彦
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2010 年 45 巻 3 号 p. 144-152

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抄録

加熱脱着-GC/MS法をディーゼルエンジン排出粒子中の多環芳香族炭化水素(PAHs)の分析に適用した。酸化触媒装着条件下における排出微量粒子や低圧インパクタ(LPI)にて分級捕集した微量粒子に含まれるPAHsの分析が加熱脱着-GC/MSで効率的に行えることがわかった。2種類のエンジンを用いて回転数をそれぞれ固定し、低負荷ならびに高負荷条件で全粒子中PAHsの酸化触媒有無(エンジン排気量6.6 L)の排出量、低負荷ならびに中負荷条件で全粒子中PAHsと粒径別粒子中PAHs(エンジン排気量3.0 L)の排出量を評価した。酸化触媒装着により、低負荷条件では82 %、高負荷条件では75 %、測定対象としたPAHs全体の排出量を削減できることがわかった。また、低負荷条件におけるPAHs排出量は、中負荷および高負荷条件よりも多い傾向が示された。低負荷条件の場合の粒径別PAHsの排出量は、文献で報告されている大気中PAHs濃度が最大となる粒径(0.48~0.68 μm)に対し、より小さな粒径(0.13~0.22 μm)が最大となっていることがわかった。

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© 2010 社団法人 大気環境学会
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