大気環境学会誌
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1980年代後半の東京都内一地区における屋内・屋外粒子状物質濃度
小野 雅司田村 憲治新田 裕史中井 里史
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2008 年 43 巻 3 号 p. 147-160

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抄録

1980年代後半の東京都内一地区において粒子状物質 (PM2.5, PM10-25, PM10) 濃度測定を実施した。濃度測定は, 200世帯の屋内濃度を4シーズン, 100世帯の屋内・屋外濃度を2シーズン行い, 以下の結果を得た。
1.粒子状物質濃度は夏季より冬季に高かった。
2.屋外のPM2.5濃度及びPM10濃度は幹線道路沿道地区の方が後背地区より高濃度を示したが, PM10-2.5濃度では明らかな違いは見られなかった。
3.喫煙世帯の屋内PM2.5濃度は非喫煙世帯よりも有意に高く, 喫煙本数に比例して上昇した。また, 喫煙によるPM2.5濃度上昇の程度は冬季に大きく, 換気回数の少ないことが原因と考えられた。
4.開放型ストーブ使用世帯では排気型ストーブ使用世帯に比べ屋内PM2.5濃度は有意に高かった。PM10-2.5濃度でも同様の結果であったが, 最も気温の低かった1987年2.月でのみ有意差が見られ, 運転時間等の原因が考えられた。
5.屋内外濃度比 (屋内濃度/屋外濃度) は喫煙世帯のPM2.5, PM10を除き, 冬季の方が小さかった。屋内PM10-2.5濃度は屋外濃度よりも有意に低かった。屋内濃度と屋外濃度の相関は夏季に大きかった。
6.PM2.5/PM10濃度比は屋内屋外とも冬季に大きく, 屋外が屋内に比べ小さかった。屋内外のPM2.5/PM10濃度比はおおむね60~80%であったが, PM10濃度の上昇に連れてPM2.5/PM10濃度比も大きくなる傾向が見られた。
本研究において, 屋内, 屋外の粒子状物質 (PM2.5, PM10-2.5, PM10) 濃度レベルを明らかにするとともに, 粒子状物質の屋内・屋外濃度の関連性及びPM2.5, PM10濃度の関連性を規定する要因について検討した。

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