Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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線虫におけるパウチマンノース型 N-グリカンの機能
Harry Schachter
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2009 年 21 巻 119 号 p. 131-148

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抄録

線虫には約 150 種類の N 型糖鎖の存在が判明している。本稿では,無脊椎動物に多く存在し,脊椎動物にないパウチマンノース型 N-グリカンの合成と機能について考察する。線虫の糖鎖はフコシル化とホスフォリルコリン付加により,多様性を呈しており,ホスフォリルコリンは多くの病原菌において抗原決定基として知られている。パウチマンノース型 N-グリカンの合成には,UDP-GlcNAc:α3-D-マンノシド β1,2-N-アセチルグルコサミン転移酵素(GnTI, Mgat1 遺伝子によってコードされる)反応が先行する。線虫では,GnTI に 3 つのアイソザイム(GLY-12, GLY-13, GLY-14)がある。それぞれのアイソザイムは標的蛋白質が異なっており,線虫の病原菌に対する防御において異なった機能を持つ。線虫における GnTI 標的蛋白質の同定により,無脊椎動物及び脊椎動物の感染防御における GnTI 標的糖蛋白質の機能が明らかになるものと期待される。

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© 2009 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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