Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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線虫 Caenorhabditis elegans におけるコンドロチン加水分解酵素
Shuhei YamadaShuji MizumotoKazuyuki Sugahara
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2009 年 21 巻 119 号 p. 149-162

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抄録

コンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸が代謝される際の最初の段階では,エンド型の加水分解酵素によって多糖鎖が低分子化を受けると考えられている。しかし,この反応を触媒するコンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸に特異的なエンド型の糖分解酵素はこれまでに見つかっておらず,ヒアルロン酸分解酵素であるヒアルロニダーゼが代わりに作用すると考えられてきた。線虫 Caenorhabditis elegans は多様な基本的生命現象を研究するうえで理想的なモデル生物であり,これまでに線虫を利用して,グリコサミノグリカンの生合成と機能に関する多くの研究が行われてきた。しかし,C. elegans におけるグリコサミノグリカンに関する代謝経路の研究は殆ど行われていない。C. elegans はヒアルロン酸を含まず,硫酸化されていないコンドロイチンを含むため,ヒアルロニダーゼの関与しないコンドロイチン/コンドロイチン硫酸の代謝の研究には理想的である。我々は,C. elegans においてコンドロイチンに特異的なエンド型の加水分解酵素を初めて同定した。この酵素の発見は,哺乳動物においてもコンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸に特異的なエンド型の糖分解酵素が存在する可能性を示唆している。

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© 2009 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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