特殊教育学研究
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自閉症・アスペルガー症候群の方言使用についての特別支援学校教員による評定
―「自閉症はつがる弁をしゃべらない」という噂との関連で―
松本 敏治崎原 秀樹
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2011 年 49 巻 3 号 p. 237-246

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抄録

青森県津軽地方の発達障害にかかわる人々の間には、「自閉症は方言(つがる弁)をしゃべらない」との噂が存在する。本研究では、青森県および秋田県県北地区で発達障害にかかわる教員に対して、自閉症・アスペルガー症候群(ASD)、知的障害(ID)、定型発達児(TD)の方言使用についてアンケート調査を行った。青森県では、噂の既知未知と噂の肯定否定についても調査した。さらに、青森県のある特別支援学校(知的障害)の教員に、担当する児童生徒ごとに44語のつがる弁と対応する共通語、訛りについて評定を求めた。結果は、次のことを示した。1)青森秋田ともに、ASDは、IDおよびTDに比べて方言使用が少ない、2)青森では回答者の36%が噂を知っており、52%がこの噂を肯定した、3)ASDと知的障害の方言使用の差は、発音、イントネーション、および終助詞によるとされた、4)特別支援学校のASDの児童生徒は、つがる弁語彙および訛りの使用が少ないと判断された。

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© 2011 日本特殊教育学会
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