芝草研究
Online ISSN : 1884-4022
Print ISSN : 0285-8800
ISSN-L : 0285-8800
芝草を加害するコガネムシ類の研究VI
チビサクラコガネの生活史と経過習性
吉田 正義安田 誠
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 4 巻 2 号 p. 51-56

詳細
抄録

芝草の重要害虫であるチビサクラコガネの生活史と磐田地方における発生経過の概要を述べる。
(1) 成虫の羽化は6月上旬から8月下旬にかけて行なわれ, 6月の大きな発生の山のピークは6月下旬で8月中旬にも小さな発生の峯がみられた。
成虫の寿命はほぼ20日間で, 地上出現の時刻は午後7時から8時までの間であった。交尾産卵はその時に行なわれた。産卵数は約60粒で土壌中に産まれ, 卵期はほぼ20日であった。
(2) ふ化した幼虫は3令を経て蛹となる。発生の早い個体では7月に1令, 8月に1令と2令, 9月には2令と3令, 10月には3令がその頻度分布の中心になって移行した。越冬はおおむね3令で行なわれ, 翌年の5月上旬から蛹化した。蛹期は16.4日であった。
(3) 幼虫期は体色の相異により白色と黄色の個体に分けられる。前者は1令から3令の前半までの期間で後者は3令の後半である。白色幼虫は地表から芝草の根群が分布する土壌層に生息して摂食活動を行なう。黄色幼虫は摂食することなく蛹化するもので, 白色幼虫より更に深い土壌層に生息した。
(4) 雄の成虫は胸部と前翅の表面が黒色の部分が多く, 触角のclubの長さが長い。雌は雄に比較して, 黄褐色で腹部の発達が顕著であり, clubの長さが短かい。

著者関連情報
© 日本芝草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top