芝草研究
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芝の生育におよぼす接触型除草剤の影響
竹松 哲夫近内 誠登
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1976 年 5 巻 2 号 p. 131-137

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抄録

非選択型接触性除草剤の芝地応用の可否を検討する目的で, コーライ芝の生育期別処理, 根系発育に及ぼす影響, 回復性, 芝の種類別抵抗性および各種除草剤の分解~不活性化について検定した。
1) コーライ芝の萌芽前 (休眠期) および萌芽直後処理では, グリホセートの安全性が高く, とくに萌芽前処理では, 50~200g/10aで全く無害である。グラモキソンは萌芽前処理150g/10a以下では安全であるが, 萌芽後の処理では, 50g/10aでも激しい薬害を示した。
2) 芝の種類別薬害試験では, コーライ芝がノシバ, テフトンに比べて薬剤耐性が高く, また除草剤の被害度は, グラモキソン=グリホセート>DCPA≧DSMA>MCP=NIP=PCP=ベンタゾンの順に大きい。
3) 薬剤処理後経時的に茎葉を切除し, 再生を観察した結果, グラモキソンでは処理3日以降の切除で再生が抑えられ, MCPでは4日後の切除で再生が抑えられる。グリホセートは処理2日後の切除で再生が80%抑えられ, 供試薬剤中最も影響が大きかった。DSMA, DCPAは無処理区と全く同じであった。
4) 茎葉処理による枯殺限界濃度は, グラモキソン, 0.1%, グリホセート0.5%で, 他剤はいずれも2%以上であった。一又低濃度茎葉処理による根部発育におよぼす影響は, グラモキソン, グリホセート, MCPで認められたが, DSMA, DCPA, PCPでは全く正常であった。
5) 土耕および砂耕による根系吸収による毒性は, 砂耕区で強く, とくにMCPによる新根抑制が強かった。グリホセート, グラモキソンの影響は弱く, とくに土耕条件では, 阻害活性が殆んどみられなかった。
6) 土壌中における分解~不活性化 (残効性) は, グリホセート, DSMAがきわめて早いが, グラセキソンの高薬量 (500~1000g/10a) では6日~16日以上の阻害活性を示した。これは1年生植物を供試したものであるが, コーライ芝にたいしては処理直後から害作用がみられなかった。

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